THE CONVOYのダンサー舘形比呂一のツアー「ソロプレイ 2001」に集められた3人。
リクエストは「Tango Ballet」をたった3人でダイナミックにオーケストレーションすることだった。「Tango Ballet」とは1956年、パリからブエノスアイレスに戻ったアストル・ピアソラが、モダン・バレエの振付師アナ・イテルマンの依頼を受けて書き下ろした6つの小曲で構成されている作品である。無謀ともいえるこのリクエスト・・・。しかし、出来上がったサウンドは唯一無比のスケール感を持っていた。空間を満たしていく至福の瞬間、連なって聳え立つようなその音はフルオーケストラに似ていた。
感性のドラマー堀越 彰、鮮烈のバイオリニスト渡辺 剛、孤高のピアニスト深町 純。
ドラマチックなオーケストラアレンジをたった3人でダイナミックに再現するスケール感と感性、それがこのユニットの特徴である。
ラフマニノフ「ヴォーカリーズ」 プッチーニ「誰も寝てはならぬ」 バルトーク「弦楽四重奏曲第 4番第5楽章」バッハ「イギリス組曲5番/パスピエ」ビゼー「歌劇カルメンからハバネラ」 ピアソラ「エスクワロ」「天使の死」 そして「タンゴ・バレエ」 ・・・ 3人が手がけたクラシックの名曲の数々。そしてそれに劣らぬ独創的なオリジナル曲。 音楽のあらゆるジャンルを越え、楽器の限界さえ越えて行くこのグループは可能性に満ちている。
” The Will ” とは、単にひとつのバンドなのか? それともオーケストラか? はたまた天才の集団か? この音楽は、聴き手が気づかないうちにその気持ちを動かす。伝統的なルールに従わなくても、または新しい技を駆使しなくても、すばらしい音楽は生まれる。音楽家が奏でる音は、まっすぐ聴き手に届く。そこには「ジャンル」などという狭い文化的な背景は存在しないであろう。Fabrizio Catalano (レビューより抜粋)