博品館劇場にいらしていただいた方、僕たちの「狂詩曲 rhapsody」を見届けていただきありがとうございました。お越しいただけなかった方、いま公演映像のダイジェストを作っています。なるべくたくさんの方にご覧いただければと思っています。そして関わっていただいたアーティストとスタッフ、劇場関係の皆様には心から感謝しています。

「狂詩曲 rhapsody」は深町さんとともに作った作品だと思っています。深町さんがいなくなったことを強く意識し、だからこそ出来た作品だと思っています。また、今年に入ってからはこの2つの特集を書くために深町さんと過した10年の記憶を遡る日々でした。そう、深町さんの訃報を知ったあの日から今まで、僕はずっと深町さんのことを考えています。


深町さんと出会う10年前、僕はピアニスト山下洋輔氏と出会い、数えきれない共演をさせていただきました。山下さんは早くから独自のスタイルを打ち出し、今に至るまで基本的に変えることなく敢えて混ざることより、純度を高めることによってスタイルを築き上げたアーティストだと思います。一方深町さんは、独自のスタイルを持ちつつもあらゆるジャンルのアーティストに変幻自在の対応力でサポートし、最高のクオリティーに高めることで自分を表現したアーティストだと思います。2人とお付き合いをさせていただき、そのどちらにも音楽に対する誠実さと深い思想を感じることが出来たのは、僕の人生において宝だと思っています。

僕が愛したピアニスト深町純は逝ってしまいました。今はその存在が僕にとっていかに大きかったかを痛感する日々です。偉大なる闘うピアニストと過した10年は強く深いものでした。そしてこれからも命ある限り、深町純を意識し音楽を続けて行くのだと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

堀越 彰