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公演まであと一週間となりました。今、約一年をかけてつくってきたこの作品を観ていただける喜びを感じています。
田中真聡初め信頼する舞台、音響、照明スタッフの熱意とこだわりをぶつけ合い、数えきれないほどの打ち合わせを経て、まもなく公演に至ります。フラメンコダンサー伊集院史朗とのシーンづくりは、今なお現在進行中です。

ここでは、6/14に行った田中さんとの対談を中心に、直前情報をお送りします。 堀越 彰


 ■プログラム
  ハバネラが聞こえる - 愛 -
それはこの時代 どんな意味を持つのだろう
Scene 1 「歪んだ時代」
  擦れ違う交渉 身勝手な正義 愚かなる対立・・・ そこに対話はない
世界は均衡を失っている 力が力をねじ伏せる
そして力は新たなる狂気を生んだ 記憶 慟哭 決意 復讐
強者は命を捨てて戦う弱者がいることを知ることとなる

 1  擦れ違う交渉 身勝手な正義 (Akira Horikoshi & Shirou Ijyuin)
 2  歪んだ時代 -Timpani solo- (Akira Horikoshi)
 3  Gloomy Parade -哀しみのパレード- (Akira Horikoshi)
  「予感」
  O Domine(Josquin Desprez) -ファンファーレ-
Scene2 「新たなる狂気」
  兵士は何のために命をかけるのか
やがて時計が狂い出す
時代という激流は 一方向に動き出し 全てを呑み込んでゆく
理不尽な規則と強制
人々は運命を嘆き しかし確実に闘いに突き進んでゆく
自らの正義を信じ それを楯として

 1  春の祭典 -Drum solo- (Igor Strawinsky)
 2  Escualo (Astor Piazzolla)
 3  運命 -Violin solo- (Tsuyoshi Watanabe)
 4  The BORELO (Akira Horikoshi)
  「祈りの鐘」
 

闘いは たとえそれが正義であったとしても
多くの悲しみを生み 実った大地を荒野と化す
不毛な男たちの戯れ それは生まれ変わるための必然か
傷ついた心はむき出しのまま風に晒される
そして祈りを捧げる 真実とは何かを探すために

Scene3 「真実」
 

天上から降り注ぐ光の中 自らの中に眠る真実と向き合う
憎しみ 諍い 悲しみの遥か彼方には
許し 喜び 愛が満ちている
私たちは そこにたどり着くことが出来るだろうか

1  Truth (Akira Horikoshi)



■ コメント

*打楽器奏者が自分の表現を発見し確信を持って音を叩き出す瞬間にはいつも戦慄を覚える。その特権を知る堀越彰が、素晴らしい共演者と共に探求する表現を、ライブで味わえる機会は見逃せない。_ジャズピアニスト 山下洋輔


*堀越君との出会いは、彼が高校生の時に私がやっていたドラム教室に出入りするようになってからです。一般のドラマーがドラマーとしての道を歩むのに対し、彼は、アーティストとしての可能性を追い求める希有な存在として私の眼には映っていました。

 ドラマーには曲全体のリズムを作り出してゆく役目と曲全体に色を付けドラマを作り出してゆく役目の2つがありますが、彼は、まぎれもなく後者の可能性を追求しつずけています。アーティストとしての道を選ぶ以上、メロディーを持たないドラムにとって残された道は、ドラムが生み出すリズムとダイナミクスを如何に視覚的なドラマへ変化させられるかです。

 しかし、初めて彼のパフォーマンスを見た時にこれは厄介だぞと思ったのが本心です。彼にはかねてより日本だけでなく世界に通用するアーティストになって欲しいとアドバイスをしてきましたが、空間や間を重視した和のテイストを前面に押し出した彼のパフォーマンスは逆にニューヨークやパリ、ロンドンではうけるかもしれないけれど正直に言って日本では難しいのではないかと思いました。しかし彼は彼の方向性を一つずつ見つけ出し着実に変化し続けています。

 一方私は、音楽は研究の為や奏者の欲求を満足させるものだけであってはならないとも思っています。スイングジャズにあれほど熱狂した聴衆が、60年代後期のクールジャズからはなれていった事実を歴史が証明しています。いくら技術的に優れた事をやっても一般の聴衆には何の意味もありません。聴衆に媚びる必要はありませんが、音楽の分からない人でも聴覚的にも視覚的にも異次元の世界へ誘うことができなければならないと思うからです。

 僕は、音楽は究極の言い方をすれば現実逃避の最大の道具と思っています。それは結果として聴衆に夢を与へ、リフレッシュさせ明日へのエネルギーを喚起させる人間にとっての最大のカンフル剤に他なりません。彼のパフォーマンスはまさにその究極の姿だと思っています。
 これからまだまだ変化してゆく堀越君のパフォーマンスが、単にアジアいや日本固有の音楽として評価されるのではなく、それらのテイストを有したワールドミュージックとして世界に認められる日を楽しみにしています。_カノウプス 社長 碓田信一




堀越

いよいよあと一週間というところでしょうか。今回もいろいろありましたね。うまくいったところ、いかなかったところ、思惑が一致したところ、揉めたところ。たくさんのディスカッションを経てようやく今の形に行き着いたという感じです。22日に劇場入りすればまた変わるんでしょうが・・・、まぁ今の段階でやれることはやったという気がします。 

この「Solo-ist」というパフォーマンスの構成要素は音とビジュアルが重要であることは今までも言ってきましたが、僕は今回もう一つ、「言葉」をとても重要な要素として力を入れました。

「言葉」、ストーリーと言い換えてもいいかもしれないけれども、テキストづくりにこだわりました。一言一句に力とリズムを持たせ、かつコンセプトとしてぶれないものをつくりたいというのが今回、この作品をつくり始める上での最初のヤマだったように思います。それだけ時間もかかったし、決定が出てからもずいぶん変更して田中さんたちを混乱させてしまいました。いつものことですね、すみません。そして、-Truth-というパフォーマンスができた。テーマは「祈り」、いかがですか?

田中

特に日ごろから何か信心深いということはないんだけれども、今回のテーマを「祈り」としてみて不思議にしっくりのみ込めていますね。
と同時に、これもまた早いうちから空間の使い方について「高さ」を基軸に上下方向での構造が浮かんでいたんです。見る位置にもよりますけれども、水平目線よりも高く、ある意味で「虚空を眺める気持ち」をイメージつくりの念頭に置いていますね。また今まで以上に「気配」あるいは「予兆と余韻」について考えている気分が強い。

堀越

空間演出の部分ですよね。光、煙り、陰、余韻という造形物ではないところでの演出にこだわったんですよね。

田中

空間の質として「染み入る感じ」「波動の浸透」「滲み合う光」というようなニュアンスのある「間合い」がつくれないか、と・・・

堀越

昨年11月に行ったウィーンの大聖堂での経験が強いインスピレーションになっていることは間違いないです。そのことについては「特集 ウィーン日記」でも随分語っていますよね。

生涯忘れないであろうあの経験を、なるべく早い時期に作品にしてしまいたい、という気持ちはありました。あの日あの場所で観て考えたことを、なるべくそのまま舞台に再現したかった。予定調和ではなく、2度と同じ瞬間はあり得ない即興的なドラムソロで「真実とは何か」というテーマと向き合う、これが今回の僕のチャレンジです。自分でも時々困ったものだと、難しい演出にあきれるときがあります。

田中

自分としては「ゆらぎ」を追っていくのは今まで通りなんだけれども、「混沌あるいは混然と屹立」「歪みとリセット」というあたりをキーワードにしたいと思う。プレーヤーを含めた舞台上の一切のものをその存在が曖昧、あるいは希薄なほどに空間に溶け込んでいながら、シーンによってはいくつかの要素のあるタイミングでの刹那的なシンクロをきっかけに一気に各々の性格を露呈していく。でもそれらは確固たる存在というよりはあくまで定位することのない事象のシルエットの残像として記憶されていく宿命であってほしい。ポイントを見つめるというよりはむしろ眼を瞑って、五感すべてのアンテナを張りめぐらして意識の中にあらわれる何かを「待つ」感じかな。

堀越

そういう難しいことを言うんですよ、田中さんは(笑)。そんなのどうやって演出するんですか?  まぁ、今回は今まで以上に照明プランに力を入れましたよね。

田中

そう。照明効果を前提・優先とした物事の決め方がこれまで以上に徹底されているよね。今回の主格ソリストは「光」と言えるでしょうか。実際に教会に脚を運ぶことは観光以外にはまずないんだけれども、 次元が違うなりに教会へ向かう人の気持ちの中に潜む何かに重なって響く時空間となるのかな。

堀越

昨年ウィーンで教会巡りをしたときに一番考えたことは、教会へ向かう人の気持ちなんです。彼らは何を求めて来るのだろうか。また、その街で暮らす人たちにとって教会というものの存在価値は何なのか。観光客は別として、日常的に教会が生活の一部になっている人は、苦しみや哀しみ、悩みを持ち込むでしょうし、あるときは喜び、感謝、安らぎを求めているかもしれない。あらゆる感情の折に触れ、今起こっていることを持ち込んでいるような気がしたんです。ただ、答えを求めているわけではないんじゃないかとも思ったんです。ただそこに居ると安らぐという理由だけなのかもしれない、と。では、なぜ安らぐのか。これは僕だけの感覚かもしれませんが、教会は、苦しみには安らぎ、哀しみには救い、悩みには解決、喜びには感謝、成功には戒めがあることを示しているような気がしたんです。そして、死を身近に感じることによって、すべては人生のほんの一瞬の出来事にすぎないと言われているような気がする。そして答えは自分の中にある、教会に答えがあるのではなくてね。すべての答えは自分の中にある。これは「SOLO-ist」のコンセプトでもある。

・ ・ ・ すみません。つい、語ってしまいました。

田中

特にどのシーンということでもなく、誰がとか何がとかでもないんだけれども、個人的にはすべてを観終ってからリフレインする何か、はっきりとしないながらも残像あるいは残響として残るものを提供したいですね。

堀越

田中さんはそこにこだわっていますよね。最初は意味がわからなかった。でも、いろいろ想像することによって田中さんが何をイメージしているのか、最近わかってきたんです。確かにそこが重要だと。ただ、難しい表現でもある。どうなるか楽しみです。

田中

担当パートに関しては物理的存在感やそのディティール等ということではなく、むしろ思い出そうとしても具体的なピントを持たないような、音と照明に重合したファントム状のもの?あるいはエーテル的な何かが染み込んでくる感じとか・・・

堀越

使う言葉が難しすぎて僕には何を言っているかよくわかりません(笑)。 でも、光と煙りがこの-Truth-にはとても重要な意味を持つことは確かです。僕たち、このプランニングにどれほど時間を割いたか。光は人が生きて来た時間、歴史を意味するでしょうし、煙りは天に立ち上り昇華する精神のようなものを意味すると思います。

それに重要な役割と言えば、伊集院さんの存在もそうです。

田中

個人的には、伊集院さんが持ち味を活かしつつも「枠」をどう超えてきてくれるかが楽しみだな。まあこのプロジェクトのゲストに関しては皆そうなんだけれども。興行演目としてこんな取り合わせはちょっとほかにないでしょう。

堀越

そうそう、ぜひフラメンコ関係者に観ていただきたいですね。

田中

ただそれら個々のポテンシャルが予定調和としてではなく、一つのシーンに溶け合って、結実したときには感動というよりむしろ核心的な「真実」のイメージの一端を見せるはずだと信じたい。

堀越

伊集院さんとのリハーサルは面白いですよ。とにかくフラメンコにはインドから発生したと言われるジプシーの土着性がベースにある。同時にスパニッシュのモダンさも不可欠である。どちらも意識しながら、いまだに解け合わない。とってもパワフルなことですよね。この現代社会の中で、同じ場所に暮らしていて同じことをやっているのに、解け合わないなんて。情熱と誇りの対立とでもいうんでしょうか。でも、 僕がやりたいことも単なるフラメンコシーンではなく、それぞれの意思と誇りを持った対立軸が出会い、調和し、すれ違うというストーリーの曲。それぞれのソロを挟んで哀しみの行進曲につながるというシーンを、打楽器とフラメンコダンスで表現したい。だから伊集院さんに「クールに情熱的になり過ぎずに、でも心の中はメラメラとも燃えている感じ」なんてリクエストしたりして。スペインというよりもドイツ的な・・・、とか。まぁ、大変で楽しいリハーサルです。

田中

ひょっとして思い過ごしか気のせいかもしれないけれども、堀越さんは今回いつもより悩み緊張しているように感じてますが、どうですか?

堀越

ストレートな聞き方ですね。

田中

今回のプラン立ち上がりのころは非常に強くインスパイアされたイメージが基にあったようだけれども、その分それをきちっと体現することに対してのこだわりとプレッシャーが大きいのかな。

堀越

確かに・・・。

田中

基本的にいいことなんだけれども、逆に自分のテンションをどうコントロールするべきかちょっと考えてしまう。ただでさえ熱く重くなりがちなところをどうクールに決めるか。一緒になってヒートアップするばかりではまずいしね。

見どころというより裏話になっちゃった。でも、やっている側のこのドキドキ感を観客にうまく伝染させたいね。

堀越

裏話OKですよ。そのための対談ですから(笑)。僕としてはぜひ、この制作過程を知ってほしいという気持ちがあるんです。一年にも及ぶ僕たちのやり取りにこそ舞台制作の醍醐味があると思っています。そこをできる限り、覗いてほしいと思っています。

まぁ、それはさておき、田中さんが言うように、今回 - Truth- というテーマとどう向き合うかということが僕にとっては最初のプレッシャーでした。勝手に解釈して好きなことをやる、というわけにはいかないなぁと思ったんです。昨年のヨーロッパツアーは幸運でした。ウィーンでの四日間でこの作品のベースができたと言っていいと思います。そこでテキストつくりを始めたんですが、これには苦労しました。日々の暮らしの中でメディアを通じて目にする事柄は果たしてどこまで信じることができるのだろう・・・。なんて考えることもありました。「真実」とは何だろう。すれ違う交渉、身勝手な正義、すべては強者の立場から語られる。それらのものを見ながら「これがすべてじゃない、信じちゃいけないっ」なんて思う自分がいたりする。では、自分はどうなのか。僕にとっての真実とは何か。いろいろな人との関わりの中で生きていて、本当の自分の大きさを測り間違えてはいないか。何ができて何ができないのか、困難に直面したとき、自分はどんな道を選ぶのか、大切なものを守っているか、不必要なものを排除できているか。そんな混沌とするような思いがこのパフォーマンスをつくるきっかけなんです。・ ・ ・ あっ、また語ってしまいました。

田中

現在鋭意製作中ですが、自分なりには結構新たな感触のものが多いです。形、素材、見せ方ともに調べもの・探しものや試しが多い・・・。先にも書いたとおり、モノによっては照明効果を優先し、場合によってはフォルム自体の存在感はさほど記憶の対象しなくともいいかな、と。 空間演出全体のテーマ、個人的キーワードは「宙(そら)へ」としているんですけれども。堀越さんや他のプレーヤーには申しわけないけれども、一つ二つのシーンを除いて観る人の意識を頭よりも上に連れて行きたいと目論んでるのね。個々のオブジェについては・・・本番のために事前にあまり饒舌にならないようにしとこうかな。

堀越

今回のオブジェは、田中さんの作品の特徴である無機的なオブジェから有機的に存在するものだと思うんです。僕が今回こだわったのは、シーンの意味とオブジェの意味を一致させること。とにかくぶれてないものをつくりたかった。作品として素晴らしくてもストーリーと合わなければ使わないという気持ちでした。田中さんオブジェの特徴でもある、点と線というイメージのものから、ボディを持ったドロドロした印象のものまで、すべてがストーリーの中でとても重要な役割を持っていますよね。

田中

今回で足掛け五年目で計八回目になるけれども、ある程度お互いを理解し、あれこれわきまえてみているつもりでもいまだ飽き足りない感じが強いですね。
ただ、そんな充実感や向上心とは裏腹に、物理的・経済的困難も回を追うごとに再認識を余儀なくされますが・・・ましてや劇場公演を始めてからは・・・ でもこの辺の状況解釈はあえてやりがいとして受け止めていくべきかなあ・・・

堀越

僕にとってこのシアタートラム公演は、一年九カ月前、「無謀だ!」と言われながら進めていった興行なんです。その前は100人にも満たないキャパシティーのフリースペースでの公演でしたよね。それが一気に四倍以上のキャパシティーになった。ということはそれだけ経済的なリスクも大きくなったということです。「無謀」であることは百も承知で、それでもこの規模のパフォーマンスをつくらなければ先がないような気がしたんです。その意味では、今回さらにそのリスクは大きくなった。内容もそうですが、多くの制作の方に「すばらしいけれども、伝えるのが難しい」と言われました。「難しい」のは百も承知ですよ。だからこそやらなければならないと思っているんですよ。僕に言わせれば、簡単なものなんてどこにもない。工夫なしにうまくいくことなんてないですよね。この「SOLO-ist」というパフォーマンスを通して、堀越 彰と田中真聡という2人のアーティストがチャレンジしているという現実がある以上、あらゆる問題もやりがいとして受け止めていけると思っています。

田中

すばらしい。堀越さんとの一番の共有点は「動き」に対する解釈のポイント。軸・重さ・反動・理にかなったリズムのあり方、エネルギーの利用の仕方等々、逆に言えば、それらがなければこんなに続くはずもなく、他の接点を探そうともせずにいたんじゃないかな。動き・リズムを生み出す構造の中でその刹那の瞬間のあり方ということよりも、その瞬間に至る予備動作やきっかけのつくり方とフォロースルーのスマートさ、なんていうおよそマニアックな話がお互いのスタンスや観点からでも自然にかみ合っていったのがこの奇妙なコラボの不思議な相性と言えますね。

堀越

マカオに行くときの飛行機の中で「動き」について随分長い時間話したのが印象的でした。あのとき既に「SOLO-ist」で幾つか作品をつくった後でしたが、「動き」に対する解釈に共通点があまりにも多く、驚いたのを覚えています。田中さんのオブジェを観ていて時々、反応しているように見えることがある。人の体でいえば、反応するっていうことは、身体が自由なとき、つまりリラックスできていて、体のどこにも不必要な力みがなく、しかも、身体を大きく動かすことを許されているときなんですよね。中心があるってこと、回転するってこと、動かすってこと、動かさないってこと、必要最小限ってこと、最大限ってこと……そんなキーワードが僕と田中さんの接点だと思っています。僕が自分の教室でよく
言うのは「体を機能させる」ということ。だから、このパフォーマンスは、“こういうフレーズが叩きたい!”なんて思う前に、その瞬間の重心や、その瞬間の向きや、その他、その瞬間のいろんな要素……例えばオブジェのように目から入る情報、そういうものに触発されながら、反応し即興的に音を出していくんですよね。その瞬間と空間における必然性が命だと思っています。

田中

音楽について美術について特にお互いの手の内を単にぶつけ合うことではなく、「時間の経ち方」について両側から同等に眺めてこれたのもよかったな。ただし、実際の進行その他での時間に対する感覚・解釈や使い方は全然違うけれどもね・・・ 自分の中では既に本番が始まっている感じ。劇場に持ち込む前に既にアトリエで最初のヤマがあって、見えない音や光をイメージしながらつくっていく、これはある意味ではリハーサルというよりも私なりにはゲネプロか番外本番に相当する感じなんだよね。

堀越

僕たちパフォーマーと田中さんとのクライマックスが違うという話は時々出ますよね。田中さんはオブジェの製作段階で一つのクライマックスを迎える。でも今回、僕もそれに似た感覚を経験しましたよ。テキストつくりが最初のヤマ、構成演出をしている瞬間にもヤマがありました。そう感じるたびに、田中さんが一人アトリエでヤマを迎えている姿が浮かびました。なんてマニアックなんでしょう、僕たち。

田中

打ち合わせだと堀越さんの熱い解説に曲目をメモりつつ曲調のイメージや・用語の意味やテンポ・時間のありようなんかに自分なりの要点の質問をかぶせ、主に時間軸の流れ・組み立てを意識しているんだけれども。ややもすると、パワフルに振りがちで前がかりに表に出る部分が寄せ集まって重く厚くなり過ぎちゃうので、逆にすき間つくりや脱力部?担当をすべきかと思ってます。ドラムはハートビートであり原動力、シンバルはその爆発の助長添加剤、共に大きなうねりを生み出して強い流れをつくる。自分の仕事は脈を整える深呼吸になりますかね、一瞬のインパクトやアクションの前には必要なタメとして、また大きなアウトプットの後には次を見据える冷静さのために。

堀越

違う視点からみるドラムの役割も面白いですね。僕自身、本来の役割としてのドラムスタイルとは随分かけ離れていると思うけれども、それでもさらに独自のものを、誰もやってないことを、と思ってしまうんです。本来、伴奏楽器であるにも関わらずね。

田中

元来の自分の仕事もいろいろな環境での伴奏者的な存在のモノの提案であって、状況の中心にあり凝視されるモノとは対極な性格のものがほとんどでしょう。真実を求めて突き進んで視線の先にあるものへフォーカスすることよりも、自他に関わらずそんな力がひとしきり働いた後にその自浄作用とも言える自然治癒力(ホメオタシス)の働くさまに強く惹かれますね。

戦争や災害の一瞬のパワーの放出に対してその後に必然的にあらわれるフォローのエネルギー。真実を追うことは許されても、つくることは果たして・・・ね。

堀越

しかし、真実のシーンは存在する。「答え」とは言わないまでも、二人とも「真実」に対する一つのアプローチをしたわけですよね。そして、まもなく公開される。果たして僕たちのつくる「真実」のシーンがどのように受け入れられるか楽しみでもあります。ぜひチェックに来ていただきたいですね。そう思います。

田中

ぜひいらしてください。

堀越

この辺にしておきますか。いやぁ、語りましたね。続きはシアタートラムでやりましょう。お疲れさまでした。

  2006年
6月23日(金) 19時開場 19時30分開演
  24日(土) 14時開場 14時30分開演/18時開場 18時30分開演
 シアタートラム
    東急田園都市線三軒茶屋駅5分・世田谷線三軒茶屋駅となり
    世田谷区太子堂4-1-1 03-5432-1526
料金:前売 \ 5,000 当日 \ 5,500
   世田谷区民割引 \4,500(くりっくチケットセンターで前売のみ取り扱い)
チケット取扱:
  キョードー東京
電子チケットぴあ
ローソンチケット
イープラス
くりっくチケットセンター
03-3498-9999
0570-02-9999  0570-02-9966 Pコード 224-097
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「The WILL」1st CD
" INFINITY ORCHESTRA "
公演初日に合わせ発売開始 お楽しみに!

収録曲:
2004年SOLO-istタイトル曲「WAR CRY」
本年SOLO-istタイトル曲「Truth」
「誰も寝てはならぬ」
「ボレロ」他

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