9月19日 松木氏とのリハーサル3日目 |
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数年前、自分の可能性に疑問を感じたことがあった。 その時、湧き出るようにほぼ同時に頭に浮かんだものが、「SOLO-ist」という名前と田中真聡のオブジェでした。過去にたった1度、共演をした田中さんのオブジェはこのパフォーマンスには不可欠なものでした。 今回、田中さんの新作オブジェは凄いです。あの自由に空間を漂うオブジェが「声」を持ちました。「メロディ」を奏でます。そして哀しみの波紋で、全てを包みます。五感で体験してください。
今回のように、優れたストリングス・カルテットとピアニストがいれば、やりたいことはすべてできるということがわかりました。それにピアニストが深町純さん、バイオリンが渡辺剛君ですからね、ロックもできます。今、僕にとっては最強です。 深町さんには、オブジェとのセッションをしてもらいます。今回、田中さんの作品の中に、ガムランのベルを叩く羽根のオブジェがあります。そのオブジェが奏でるメロディーをモチーフに即興演奏をしてもらいます。前例のない画期的なコラボレーションです。 そして松木さんの剣舞とのバトル。能楽に倣って「序」「破」「急」という3つの楽章で構成しました。フラメンコのリズムを使った「破」や倒れるまでやろうと言っている「急」など、何十時間にもわたって話し合い、動きあってつくってきたこの共演をどうぞお楽しみください。
では、シアタートラムでお待ちしています。 堀越 彰 |
「ゆるやかな坂の途中で」 堀越さんと初めて会ったとき、ステージや音楽のシーンに今ほど関わりを持つなんて考えていなかった。 ただ今にしてみると自分の中にいつの間にか大きな脈となって流れているライブ表現への好奇心はずっと小さな頃からの自分の体験してきたことの同一線上を過去へ、その延長線上を未来へたどろうとするラインから少しもはみ出さずにその上に在ったのだと思える。 さらに幸運にも普段はお互いに違うジャンルで活動しながらも空間と時間の感覚において、様々な共鳴点を見つけ続けられていることに一番の特筆事項がある。実験的ではありながら、どこかで確信犯としてお互いの手の内や逆に普段は得ることが難しいリクエストをさらし合っていくことに意義を感じている。 本音で自由に遊べているとはまだ言いがたいが、少しずつゆくりでいい、この坂道をしばらくのぼっていたい。のぼるほどに景色は良くなっていくはずだ。 「ゆるやかな坂の途中で」これはマカオの劇場の館長にプレゼントした小作品に付けた題名だがこのプロジェクトにかかる気持ちとも重なるところがあるので引用してみた。(だだし現在は公演を目前にして当面はいささか急な坂を急いでのぼらねばならないが、その先にはきっと・・・?) 「風」という言葉をタイトルによく使う。少し意識的に違う言い回しを探してもみるのだがなかなかしっくりこない。ボキャブラリーの無さもあるがそれだけ「風」という現象や言葉の持つイメージの範囲が広く深く、飽きが来ない。風そのものは見えないが風に吹かれているモノは連なって風景をつくる。季節の変わり目を体感しやすいこの頃に今公演が行えることは幸運だ。窓やモニター越しではないリアルなライブ空間に自分たちなりの風景を作ってみる、劇場に脚を運んで色々な風を感じてもらえればと思う。 田中真聡 |
■プログラム |
Openning | Vocalise (Rachmaninoff) <弦楽四重奏> |
CONSEPT 人は「記憶」と共に生きている。心の中に膨大な「記憶」という資料を眠らせている。 窓から差し込む眩しい陽射し、真夏の夜の月と影、野原を駆け回る子供の声。 |
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Scene 1 | 「Pride 誇り」 チベット仏教の荘厳な響きが生を語り、激しく打ち鳴らされる鐘の乱打音が死を予感させる。テーマは「PRIDE」。それはASIANとしての誇り。 |
1 Sand Mandara (Philip Glass) 2 Premonition -予感- (Akira Horikoshi) <大太鼓> 3 バルトーク弦楽四重奏曲 第4番 第5楽章 (Bartok) <弦楽四重奏 & Dr> |
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The Sword Dance 作品37 -無伴奏合唱によるミサ- (Rachmaninoff) 刀は何も迷わず、ただ斬ることのみに存在する。しかし、それを扱う人間は死を恐れ、決断に迷い、運命を嘆き、自らを疑う。剣術はそれらを振り払い、刀と一体になるための儀式のようなもの。揺れ動く人の心と迷わず輝く真剣の対比を表現する。 |
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Scene2 | 「The Previous Night of The War 闘い前夜」 |
1 Prerucucion Interna (Akira Horikoshi) <el Vil Key &
Dr> 2 Sing Sing Sing (Louis Prima) <el Vil Key & Dr> 3 WAR CRY -鬨の声- (Akira Horikoshi) <el Vil Key & Dr> |
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The Objects playing with a pianist (Jun Fukamachi / Bell) <エスニック・ベル
& Pf> 安らぎ、開放、静寂、一瞬の不安、野に咲く花のように、水たまりに集う小鳥のように戦場とは縁のないものに焦点を当てる。やがてそれは蹴散らされてしまうことも知らずに・・・。 |
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Scene3 | 「Perish in Battle 戦場に散る」 |
1 A Will -遺言- (Akira Horikoshi) 花、桜の花の美しさは 日本人の美学と共通する。 たたずまいは派手さを誇らず、風雅と知性に満ちあふれ、 その散り際の 艶やかで、何と美しいことか。 志しは 大地に深く根を張り、揺るぐことはない。 これこそ、日本人の心である。 2 Instinct -本能- 儚くも散らす命の花びら (Akira Horikoshi / Fumio Matuki) <Dance
& Drums> 3 Tears of Mother - Vocalise (Rachmaninoff) <Voice Vil &
Key> 4 Memory of・・・(Akira Horikoshi / Arr Masahiro Sugaya) <弦楽四重奏 Pf &
Dr> |
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■オブジェ名・コンセプト紹介 |
・風を数えて歩く 1996 (ランダムなメトロノーム) --- この風の端は昨日と明日のどちらにつながっているのか。 |
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・星のまたたく音をつなぎ合わせて 1991 (蓮の花) --- 何かを見つめるように耳を澄ましてみた。瞬きの音の合間に何か聴こえた。 |
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・WIND DRINKER 2001 (白い2枚羽根) --- 少しずつ思い出しながら昨日の話の続きをしませんか? |
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・風の栞 1999 (背の高い緑色の二等辺三角形) --- いつかまた戻ってきた時のために残しておく幾つかのこと。 |
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・風影 1993 *ロビー展示 (黒い1枚羽根) --- 追いかけることよりもむしろ待つことについて・・・ |
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・風をまるめて 2004 (エスニックベル演奏装置) --- ポケットの中が少しふくらんできた。手に執るとすぐにこぼれてしまった。 |
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・風の尾 2004 (色違いの3枚羽根) --- 無くさないようにと引き出しに入れたまま忘れていた・・・ |
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・"Surfaces" 2004 (水の装置) --- 幾重もの時間の層の底から染みだして、そして溶け合っていく・・・ |
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・"attractive calls" 2004 (サウンドホース) --- 立ち止まるといつもどこかで呼ぶ声がする。 |
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・"Air sword" 2004 (大きな二枚刃) --- 時も風も同じ様に流れていく。少しだけでも切り取ることは出来ないだろうか。 |
■コメント |
*「今日も後ろに堀越彰がいる」僕の民謡が変化するたびに、堀越君が前後左右にリズムが動く。多喜雄に歌を唄わす堀越君が、いよいよ動きだした。本物はいいもんだと、つくづく思う。 _伊藤多喜雄(民謡歌手) *堀越さんとは一度ステージでご一緒させて頂いたことがある。その時、僕はとんでもない間違いをしでかしたのだが、堀越さんはそれを何故かいたく喜んでくれた。それ以来僕は離れていても堀越さんへのシンパシーをいつも感じている。彼は完璧な演奏のできる優しい詩人なのだ。 _ゴンザレス三上(ギタリスト/GONTITI) *堀越さんも田中さんも、とてもよく知っている仲ではあるが、ふたり一緒の活動を一度も見ていない。ドラムのソロとキネティック田中オブジェが一体どういう絡み方をするだろう、何でこの二人が一緒にやっているのだろう、と不思議に思ってきた。今回は、その種明かしを見てやろうと思っている。憎い絡み、あるいは機械と人とのリズムの絶妙さ、そしてボコリと外し、などなど、できていたなら喝采である。 _小池博史(演出家/パパ・タラフマラ) *原始的にうごめくミトコンドリアの中から突然しなやかな豹が走り出る! その自在に変容するドラミングに興奮し、クリエイティブな姿勢を見ては自分をふりかえる。とにかく刺激的な存在なのです。 _金子飛鳥(バイオリニスト) *堀越さんとは、僕が「ニ短調―白鳥の歌」というソロの舞台をやったときに、初めて出会いました。一見とてもクールな二枚目といった印象が強かったのですが、中に秘めている熱さとひたむきさ、そして謙虚さが、とてもいいバランスで同居しているのを知って、彼のドラム同様、人としてもとても好きな存在となりました。その時は、どんな時間でもすきあらば、僕の踊りを真剣なまなざしで見つめつづけていてくれた、堀越さんの「こころ」にとてもうれしさを感じていた僕でした。今回のリサイタル、会場には行けませんが、大成功を心から祈っています。では! _舘形比呂一(ダンサー/THE CONVOY) |
■GUEST |
深町 純 Jun Fukamachi (Piano / Keyboard) |
渡辺 剛 Tuyoshi Watanabe (Violin) |
杉野 裕 Yu Sugino (Violin) |
渡辺一雄 Kazuo Watanabe (Viola) |
大沢真人 Makoto Osawa (Cello) |
松木史雄 Fumio Matuki (剣舞) |
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